どうも、もりくみこです。
今回は、成年後見人(こうけんにん)制度のメリットとデメリット、成年後見人制度の問題点についてお話します。
成年後見人制度を解説している様々なサイトに書かれている後見人制度のメリット・デメリットについて、実体験に基づき、赤裸々に実態をお話していきます。
成年後見人制度のメリット
成年後見人制度のメリットとしてサイトに書かれているのは、主に、次の5つです。
成年後見人制度のメリット1「取消権」
まず、成年後見人制度のメリットとして挙げられているのは、成年後見人に「取消権(とりけしけん)」があることです。
成年後見人制度は、この「取消権」のために設けられた制度と言えます。
取消権とは、わかりやすく言うと、認知症になってしまった人などが、契約の内容をちゃんと理解せずに行った契約などを、後見人が取り消すことができる権利です。
『成年後見人制度とは?』でお話しましたが、後見人制度のそもそもの目的は、認知症になってしまった人や障害者を保護することです。
成年後見人に取消権があることで、契約を取り消すことができるため、自宅売却等の不動産売買契約を取り消すことができ、認知症になってしまった人などを保護することができます。
成年後見人制度のメリット「取消権」の問題点 メリット度★☆☆
実務面を考えると、残念ながら、取消権は、成年後見人制度を利用する上で、十分なメリットとは言えないわ。
その理由は、契約を取り消すことができても、契約を取り消したからと言って、契約の相手方が、すんなり不動産を明け渡してくれたり、売買代金を返してくれたりするとは限らないからです。
むしろ、そもそも、認知症や障害があることに漬け込んで契約をするような「悪いやつ」が、明渡しや返金にすんなり応じてくれる可能性は限りなくゼロです。
そうなると、結局、不動産明渡し請求や不当利得返還請求といった訴訟をする必要が出てきます。
裁判になれば、結局、判決が出るまで何年もかかり、弁護士費用もかかります。
また、判決が出ても、契約の相手方が明渡しや返金に応じてくれなければ、執行手続きをする必要が出てくるため、結局、取消権だけでは、あまり意味が無いのが実情です。
成年後見人制度のメリット2「預金や不動産等の財産を動かせる」
次に、成年後見人制度のメリットとして挙げられているのは、成年後見人制度を利用すれば、認知症になってしまった人(=成年被後見人(ひこうけんにん))などの預金を引き出したり、不動産を売却できることです。
成年後見人が預金を引き出せるのは、財産管理の権限が与えられるためです。
実際、認知症などでボケてしまった親の口座から預金を引き出そうと思っても、キャッシュカードの暗証番号がわからず、引き出せずに困り果てたという人が多くいます。
預金を引き出せず困って銀行に相談すると、銀行から、「後見人制度」の利用を勧められ、後見人制度を利用し始めるケースが恐らく一番多いと思います。
銀行が「成年後見人制度」を勧めるのは、自分達の責任やリスク回避のためであって、預金者のためを思って成年後見人制度の利用を勧めているわけではありません。
成年後見人制度のメリット「財産を動かせる」の問題点 メリット度☆☆☆
凍結されてしまった口座から預金を引き出したい気持ちはわかるけど、そのためだけに後見人制度を利用するのはお勧めできないわ。
その理由は、『成年後見人は誰がなる?後見人になれる人は?』でお話しましたが、成年後見人を誰にするか決めるのは裁判所なので、自分が後見人になろうと思ってもなれるとは限らないからです。
むしろ、認知症になってしまった人などに財産があったり、推定相続人が複数人いたりする場合、家族や親族が成年後見人に選ばれる可能性は低く、赤の他人である司法書士や弁護士が選ばれる可能性の方が圧倒的に高くなります。
弁護士など、家族以外の第三者が後見人に選ばれてしまった場合、結局、僕らは預金を引き出すことができないんだね。
預金を引き出せないばかりか、預金を含む一切の財産管理は、裁判所に選ばれた後見人である弁護士等しか行うことができなくなるため、たとえ家族であっても、財産管理について、口出しすることができなくなります。
つまり、預金を引き出してもらえたとしても、その預金を使うためには、成年後見人である弁護士等の許可が必要ということです。
また、財産管理は後見人に一任されるため、後見人になった弁護士等がどのような財産管理を行っているのか、家族であっても知ることはできません。
「そんな馬鹿な…」と思うかもしれませんが、成年後見人の行う財産管理状況について、家族に開示しなければならないという法律がない(=開示義務が無い)ため、成年後見人が家族に開示することはありません。
建前上は、裁判所に謄写閲覧請求という形で開示請求することができますが、私の経験上、成年後見制度が「非公開」の制度であることを理由に、裁判所は基本的に開示を許可しません。
実際、私は、後見人が横領している恐れがあることを理由に、開示請求を裁判所に何度も行ったけど、開示が許可されることはほとんど無くて、許可されても、開示されるのはほんの一部の資料だけだったわ。
預金や不動産などの財産を動かすために後見人制度を利用するのは、メリットよりも、デメリットの方が圧倒的に大きいね。
「預金や不動産等の財産を動かす」方法に関するアドバイス
認知症になってしまった親の口座から預金を引き出すにはどうすればいいんだろう?
口座から預金を引き出す方法は、後見人制度以外にも色々あるわ。
具体的な手続きの方法は、各金融機関によって多少異なりますが、まず、次の方法が可能かどうか検討することをお勧めします。
認知症等が軽度の場合・親が動ける場合1「暗唱番号を変更する」
認知症等が軽度で、親が動けるようであれば、金融機関の窓口で、暗証番号の変更手続きを行うことをまずは試してみましょう。
その際、親とは、予め、変更する暗証番号を決めておくことをお勧めします。
コロナ以降、最近では、窓口での手続きには予約が必要な金融機関が多くなりました。
予約の時点で、暗証番号の変更手続きであることを伝えておけば、窓口では、担当者が変更手続の話を進めてくれるので、担当者の説明通りに名前や住所を書くことができるのであれば、手続きすることができます。
金融機関の窓口へは、必ず、付き添って上げましょう。
施設に入っていたり、入院している場合でも、外出や外泊できるようであれば、金融機関が開いている時間に一緒に出向いて、手続きに同席します。
一番良いのは、親から担当者に、「一人では不安なので子供を同席させて欲しい」と伝えてもらうことです。
同席させてもらえない場合、手続きが終わったらすぐに、
- 変更後の暗証番号が何だったかその場で教えてもらう
- ATMでキャッシュカードを使って、変更後の暗証番号が合っているか確認する
ようにしましょう。
認知症等が軽度の場合・親が動ける場合2「口座解約する」
暗証番号の変更手続きに同席できず、親が変更後の暗証番号を覚えられないなどの事情がある場合、口座を解約して預金を引き出す方法もあります。
この場合、事前に、どのぐらい残高があるのか確認しておけるようであれば、確認しておきましょう。
預金残高の確認方法
- 通帳がある→ATMで記帳
- 通帳は無いがキャッシュカードはある→テレホンバンキングで確認
インターネットで「〇〇銀行テレホンバンキング」で検索すれば、電話番号や確認方法が出てきます。ご参考までに、大手金融機関のホームページのリンクを載せておきます。
みずほダイレクト |
三菱UFJ銀銀行テレフォンバンキング |
三井住友銀行テレホンバンキング |
認知症等が重度の場合・親が動けない場合
費用はかかるかもしれませんが(約5~10万円)、後見人制度を利用せずに、預金を引き出す方法があります。
必要な方は個別にお教えしますので、お問い合わせフォームより、題名欄に「預金を引き出す方法」と記載のうえ、お問い合わせください。
成年後見人制度のメリット3「親族等の使い込みを防げる」
3つめの後見人制度のメリットとしては、親族等の使い込みを防げることも挙げられています。
親の入院や認知症等などをきっかけに、兄弟の一人が親の預金を引き出し、使い込んでしまい、使い込みを知った別の兄弟が、これ以上使い込まれないように、後見人制度の利用を開始するケースが多くあります。
成年後見人制度のメリット「使い込みを防ぐ」の問題点 メリット度★★☆
親族等の使い込みを防ぐという意味では、成年後見人制度の利用はメリットがあると言えるわ。
ただ、親族等による使い込みを防ぐことは確かにできますが、『成年後見人に選ばれる弁護士、司法書士等はどんな人?』でお話しましたが、裁判所は、後見人登録をしている弁護士等から後見人を選ぶことしかできません。
後見人登録している弁護士等というのは、普段、「仕事が無く暇を持て余している」弁護士等です。
「噓だぁ~」と思うのであれば、後見人登録している弁護士をインターネットで検索してみてください。
後見人登録している弁護士は、個人で事務所を構えている弁護士ばかりです。
個人で事務所を構えている弁護士でも有能な弁護士は、もちろんいますが、有能な弁護士は仕事が忙しいので、後見人の仕事をしている暇などないため、後見人登録はもちろんしていません。
後見人制度を利用することで、確かに、親族等の使い込みを防ぐことはできます。
しかし、後見人に選ばれる弁護士等はお金に困っているような弁護士等が多いことを考えると、第三者の後見人であっても、使いこまれる可能性は非常に高いです。
そして、親族等が使い込んだ場合は、どうやって使い込んだか追及することはできますが、後見人が使い込んだ場合、どのように財産を使ったか、後見人も裁判所も開示義務は無いため、追及することはほぼ不可能です。
後見人には、財産をどうやって使ったか開示する義務が無いため、後見人が財産を好き放題使ってもバレない怖い制度です。
親族などの使い込みは防げても、結局、後見人の使い込みを防げる制度では無いんだね。
成年後見人制度のメリット4「厳格な管理」
4つめの後見人制度のメリットとして、厳格な管理を挙げているサイトもあります。
某行政書士事務所のホームページには、後見人のメリットとして、
- 後見人の行なった事務は家庭裁判所に報告する義務がある
- 自宅の売却など、大きな財産の処分や変更などをおこなう場合は家庭裁判所の許可が必要である
ことを理由に、厳格な財産管理が行われるため、家族や親族による財産の使い込みや、後見人による財産の横領なども厳格な管理のもとで防止することができるとしています。
成年後見人制度のメリット「厳格な管理」の問題点 メリット度☆☆☆
『成年後見人がすること』でお話しましたが、確かに、成年後見人には「報告義務」はありますが、報告すれば良いだけで、報告内容が裁判所にチェックされることはありません。
実際、横領されていた私の叔父の報告書を取り寄せたところ、収支の金額は全然合っておらず、添付されていた通帳の写しは、横領が分からないように最後のページしか添付されていませんでした。
つまり、裁判所は、報告の有無だけを確認し、報告内容をチェックしていなかったわけです。
成年後見制度にはチェック機能が無いから、厳格な管理を求めるなら、成年後見人制度を利用するメリットは全く無いわ。
また、確かに、自宅などの不動産を処分するには、裁判所の許可が必要ですが、裁判所は、許可申請理由を裏付ける証拠の提出まで求めません。
どういうことかと言うと、裁判所は、申請理由が事実に基づくかどうか、確認しないわけです。
実際、私の叔父の自宅処分許可申請には、「叔父が退院の見込みが無い」ことが理由に書かれていましたが、実際には、叔父は退院できる状況でした。
裁判所が出した許可には、医師の診断書等の証拠資料は添付されてなかったから、裁判所は退院の見込みについて事実確認をせずに許可を出したと言えるわ。
厳格な管理とは程遠いね。
成年後見人制度のメリット5「介護サービス契約等を代理してもらえる」
最後に、成年後見人制度を利用するメリットとして挙げられるのは、介護サービスや施設への入所に関する契約等、生活に必要な契約を代理して行ってもらえる点です。
成年後見人が契約を代理で行えるのは、『身上監護(しんじょうかんご)』の権限が与えられるためです。
成年後見人制度のメリット「契約代理」の問題点 メリット度★☆☆
確かに、弁護士等の専門家に、契約を代理で行ってもらえるのは心強いと言えます。
しかし、施設への入所に関する契約や入院手続きといった手続きは、一般の人でも普通に行える手続きなので、弁護士等の専門家に代理で行ってもらえるメリットはそこまで大きくないと言えます。
確かに、入院する度に、弁護士に依頼しているなんて話は聞いたことが無いね!
逆に、介護認定など本当に必要な手続きになると、必要書類が増え、面倒な手続きになるため、後見人から積極的に手続きしてくれることは、まずありません。
私の叔父は、退院に必要な介護認定を後見人が申請してくれず、退院できなかったわ。
それは酷いね。
成年後見人制度のデメリット
成年後見人制度のデメリットとしてサイトに書かれているのは、主に、次の4つです。
成年後見人制度のデメリット1「家族が後見人になれるとは限らない」
まず、成年後見人制度のデメリットとしては、家族が後見人になれるとは限らないことが挙げられます。
成年後見人制度のデメリット「家族がなれない」の問題点 デメリット度★★★
後見人制度が創設された2000年当時、後見人に選ばれる親族の割合は約90%でしたが、2022年には約20%にまで減少しています。
引用元:https://kouken-pj.org/about/current-status
成年後見人に家族が選ばれなくなった主な理由は、
- 核家族化などの増加により、成年後見人になってもらえる親族がいない
- 親族後見人による不正が多く、裁判所が親族後見人を選ぶことに消極的になっている
ということが挙げられます。
割合としては、4~5件に1件が家族で、残りの3~4件は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門職の人が選ばれます。
弁護士等が成年後見人に選ばれ納得がいかない場合でも、制度上、裁判所の決定に対して不服申立てできません。
不服申立てができないということは、裁判所が選んだ後見人は、一度選ばれたら、変えてもらうことはできないの。
弁護士等が選ばれた場合、全く知らない赤の他人が来て、いきなり、認知症の親や障害者の家族の預金通帳や土地の権利書、保険証など、財産に関する一切の書類を持って行ってしまいます。
認知症になった親や障害者の家族の面倒を家族が看ようと考えているなら、成年後見人制度は絶対に利用すべきではありません。
成年後見人制度のデメリット2「費用がかかる」
次に、成年後見人制度のデメリットとして挙げられるのが、費用がかかることです。
成年後見人制度を利用する場合、
- 申立時の費用
- 申立後の費用(成年後見人の報酬)
の2種類の費用がかかります。
詳細な金額は、別記事にまとめていますが、申立時のざっくりした金額は、以下の通りです。
申立時の費用 | 約1万9900円(医師の鑑定が必要な場合+5~10万円) |
申立手数料 | 800円 |
予納切手(連絡用の郵便切手) | 3200~3500円 |
後見登記手数料 | 2600円 |
医師の診断書 | 5000~1万円 |
住民票、戸籍謄本等各種証明書 | 2500~3000円 |
管理する財産額 | 基本報酬額 |
1000万円以下 | 毎月2万円(年24万円) |
1000万円超5000万円以下 | 毎月3~4万円(年36~48万円) |
5000万円超 | 毎月5~6万円(年60~72万円) |
成年後見人制度の申立て・申請手続きの費用はどのぐらい?後見人の費用はいくら?
成年後見人制度のデメリット「費用がかかる」の問題点 デメリット度★★★
成年後見人制度利用経験者の私の見解では、成年後見人制度の費用はデメリットしかありません。
まず、申立時費用の金額については、一見すると、約2万円と妥当です。
しかし、役所や病院、法務局等、複数の機関から色々な種類の資料を準備する必要があり、法律の知識が無い普通の人や、平日フルタイムで仕事をしている人が、色々な機関に問い合わせて、弁護士等の専門家に頼らずに申立てをするのは、正直、中々、難しいと思います。
だから、成年後見人の申し立てをするときは、弁護士等の専門家に10~30万円支払ってお願いする人がほとんどなの。
サービスを受けるための申込み手続きのためだけに、代行業者に10~30万円払う必要があるサービスなんて、普通ならぼったくりだね。
また、申立後の費用である後見人の報酬も、ぼったくり感が否めません。
その理由は、制度上、成年後見人がどのぐらい報酬を得るかは、成年後見人に一任されてしまうからです。
普通、民間企業等のサービスを受ける場合、どのようなサービスに対していくら対価を払うのか、利用者は納得した上でサービスを利用します。
しかし、現行の後見人制度では、例えば、不動産賃貸を営んだ経験のない弁護士等の専門職人が後見人に選ばれ、後見人は、自分の報酬を増やす目的で、勝手に、不動産を売却しても、そもそも裁判所の許可が不要なので、誰からもお咎めを受けることがありません。
本来なら、成年後見人の報酬額を自ら決めるのは利益相反になるため、特別代理人が選任されるべきですが、実際は、成年後見人が自ら報酬額を決定し、裁判所に許可申請しているのが現状です。
その結果、実際、私の叔父の不動産も、いくつも売却されてしまっていましたが、いくらで売却し、どのぐらいの利益があり、弁護士がいくら報酬を得たのか、裁判所も後見人も説明はおろか、開示すらしてくれません。
後見人によって財産がどのように使われたのか家族が知る権利は法律上保障されていないの。
後見人制度を利用する以上、家族は、被後見人(=認知症の親など)が亡くなった後、残った財産を受け取るだけで、財産が減っていても、財産がどのように使われたのか知ることはできないんだね。ヤバい制度だね…
成年後見人制度のデメリット3「財産を自由に使えなくなる」
3つめの成年後見人制度のデメリットとして、財産を思うように動かせなくなることが挙げれます。
成年後見人制度のデメリット「財産を自由に使えなくなる」は、成年後見人制度のメリット「預金や不動産等の財産を動かせる」と、一見、矛盾するように思うかもしれません。
確かに、成年後見人になれば、認知症になった親等の預金や不動産等の財産を動かせるようになります。
これは、成年後見人には、財産管理の権限が与えられるためです。
しかし、成年後見人は、成年被後見人(ひこうけんにん)(=認知症になった親等)の財産を守ることが財産管理の条件になります。
そのため、成年被後見人の財産は、被後見人の生活や健康維持のためだけに使われるようになり、それ以外の出費は、基本的に認められなくなります。
つまり、
- 生前贈与
- 不動産購入
- 保険の加入
といった相続税対策や、
- 不動産投資
- 株式投資等
といった資産を減らすリスクのある積極的な資産運用は、基本的にできなくなります。
成年後見人制度のデメリット「財産を自由に使えない」の問題点 デメリット度★★★
成年後見人制度を利用していた私の経験上、相続税対策や資産運用ができないというのは、実際のところ、建前に過ぎません。
某行政書士事務所のサイトでは、裁判所の管理がかなり厳格であるため、不動産の売却なども、その不動産を売却しないと生活費が無い場合など、かなり必要に迫られた時でないとできなくなると書いてあります。
実際、私の叔父には年収1000万円の家賃収入がありましたが、後見人弁護士は、叔父の不動産を何の必要性が無いにもかかわらず、いくつも売却していました。
また、後見人は、叔父の土地に抵当権を設定し、金融機関から借入をし、アパートを建設していたり、古くなった満室アパートの住人に何百万もの退去費用を払って退去させた後、解体したり、必要が無いのに5000万円以上の預金を引き出したり、解約して投資信託を行ったり、実際には、やりたい放題でした。
「財産を自由に使えなくなる」のは、弁護士等の第三者が後見人に選ばれた場合のみです。
ただ、家族が後見人に選ばれる可能性は20%程度しかないため、成年後見人制度を利用した場合、家族が「財産を自由に使えなくなる」可能性は極めて高くなります。
「財産を自由に使えなくなる」というデメリットは、成年後見人制度を利用する上で、かなり大きいと言えます。
成年後見人制度のデメリット4「途中でやめられない」
4つめの成年後見人制度のデメリットとして、途中でやめられないということが挙げられます。
成年後見人制度の目的は、認知症になった人など、判断能力が不十分な人を保護することです。
成年被後見人の判断能力が回復したと認められない限り、制度の利用を途中でやめることはできません。
つまり、基本的に、成年後見人制度を利用し始めたら、被後見人が亡くなるまで利用を止めることができません。
成年後見人制度のデメリット「途中でやめられない」の問題点 デメリット度★★★
成年後見人制度が、認知症になった人などを保護する目的の制度であっても、途中でやめられないのは、制度として破綻してると、個人的には思います。
- 使ってみたけど使い勝手が悪かった
- 思っていたような制度ではなかった
- 被後見人の生活や看護面についてなど、第三者後見人と考え方が合わない
- 申立時と状況が変わり、家族で面倒を看たい
- 第三者後見人が被後見人の病気に関して理解が無い
など、生きていれば、色々状況も変わりますし、実際には、使ってみたら、全然、「被後見人のためになっていなかった」というケースも多くあるはずです。
実際の介護の現場は、大変です。
そのような状況を一切考慮せず、一律的に、途中でサービスの利用をやめることを禁じる制度は、このご時世、時代遅れの制度だと言わざるを得ません。
民法では、「被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」(第858条)とありますが、尊重しなかったり、配慮しなかったりしても、罰則規定がないため、後見人や裁判所は何ら責任を問われることがありません。
後見人制度には、そもそも、どうやって適切に運用していくか、ちゃんとした運用規定が存在しないの。
普通の企業ならあり得ない話だね。被後見人の判断力の回復が認められない限り、途中でやめられないのは、利用者としては困るね。
成年後見人制度は、柔軟性が全くない制度であり、かなり利用を開始する上では注意が必要です。
成年後見人制度のデメリット5「後見人を変更できない」
どのサイトにも書いてありませんでしたが、後見人制度に、成年後見人の変更手続きはありません。
成年後見人の変更ができないのは、私個人としては、かなりのデメリットだと感じていました。
成年後見人制度のデメリット「後見人を変更できない」の問題点 デメリット度★★★
成年後見人の変更手続きが無いからといって、変更できないわけではありません。
成年後見人を変更したい場合は、
- 現在の後見人を解任する
- 新しい後見人を選任する
ことを、裁判所に申し立てれば、理論上は、変更することが可能です。
ただし、成年後見人を解任できるのは、民法846条で、以下の場合に限られています。
不正行為 | 【例】被後見人の財産を横領した、使途不明金がある |
著しい不行跡(ふぎょうせき) | 【例】被後見人を虐待する |
その他後見の任務に適しない事 | 【例】裁判所の命令に従わない |
成年後見人を解任する手続きについては、別の記事にまとめています。
ちなみに、私の叔父は、後見人に5000万円以上の現預金を横領されていましたが、私が指摘したことで、返還されたためか、横領した成年後見人の解任を申し立てましたが、財産管理の任務を解除されただけで、身上監護はそのまま継続されました。
また、私を後任の成年後見人に選ぶよう申し立てましたが、後任には、私ではなく、別の第三者後見人が選ばれました。
え??横領していても、成年後見人は解任されないの???
横領していても返金等している場合は、解任しないケースが多いの。
成年後見人を解任するのはそんなに難しいの?
そうね。成年後見人を選んでいるのは裁判所だから。成年後見人の不正を簡単に認めると、裁判所の責任問題に発展するから、裁判所は、簡単には解任しないわ。
また、叔父が亡くなった後わかったことですが、私の叔父は、退院を希望すればいつでも退院できる「任意入院」をしていましたが、後見人は、叔父を10年以上、閉鎖病棟に入院させたままでした。
私には、「任意入院」だった証拠を手に入れることができなかったため、閉鎖病棟に入院を継続させ続けていることを理由に、横領していた成年後見人を解任するように裁判所に申し立てましたが、裁判所からは認めてもらえませんでした。
任意入院なのに、閉鎖病棟に10年以上って、虐待じゃないの??
成年後見人が横領している、虐待していると裁判所に訴えても、裁判所は、調査すらしてくれなかったし、結局、後見人を解任することはできなかったの。
成年後見人を解任するって、どんだけ無理ゲーなんだ…
成年後見人制度のメリット・デメリットまとめ
成年後見人制度を利用するメリットは、ほとんど無いことがお分かりいただけましたか?
民間企業であれば当然にあるべき運用規定が、成年後見人制度にはありません。
成年後見人制度にあるのは、
- 裁判所が後見人を選ぶ
- 被後見人(=痴呆症の親など)の財産管理、身上監護は、後見人に一任する
- 後見人は裁判所に報告書を提出する
- 裁判所は報告書を回収する
というざっくりとした運用方針だけであり、全く適切に機能していないのが実態です。
成年後見人制度は、使うべきではありません。
これから利用することを考えているあなたが、利用しないことを切に願います。
この記事が少しでも、あなたのお役に立ちましたら幸いです。
最後まで、お読みいただきましてありがとうございました!
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