成年後見人に5000万横領された話【実体験】横領の事実は死亡後しか分からない

後見制度実話

どうも、もりくみこです。

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今回は、叔父が、成年後見人に5000万円超横領されたお話です。実話です。

成年後見人がどのように5000万円余りを横領したか、そして、どのように横領が発覚し、発覚したあとの裁判所の驚きの対応についてお話していきます。

成年後見人に横領されるまでの話

まずは、家族構成と経緯から。

叔父は、私の母(3番目の姉)の弟で、5人兄弟の末っ子です。

私の母の話では、叔父は、5番目にようやく出来た男子だったため、当時は貴重だったバナナやチョコレートをおやつに叔父だけ食べていたり、叔父だけ家庭教師をつけてもらったりなど、両親からかなり甘やかされて育てられ、かなり内弁慶な性格だったようです。

それが災いしてか、叔父は15歳の頃、高校でのいじめが原因で統合失調症を発症し、入院治療後は退院して、家族と生活し通院治療を継続していました。

叔父は、残遺症状があったため、ずっと両親と実家暮らしで妻子はいません

私は、中学生になるまで、私の母と一緒に叔父が住む祖父母の家に隔月ペース(お正月、春秋彼岸、夏休み、文化の日等)で訪問していました。

夏休みは、私と妹だけで1週間程祖父母の家に泊まりに行き、その間、祖父母と叔父と日帰りで出かけたり、祖父母の別荘に旅行に行ったりしていたので叔父の病状はよく知っていました。

叔父に成年後見人がついたのは、平成9年、叔父が45歳のときです。

成年後見人になったのは、叔父の義兄Y(2番目の姉Y子の夫)でした。

当時、まだ大学を卒業したばかりの私は、法律のことは良く分かっておらず、成年後見人のことも何も知らなかったので、母から、

今日、裁判所からいきなり電話がかかってきて、「義兄Yを叔父の後見人にするけど良いか?」と聞かれたのよ。

後見人が何かもわからないのに、ろくに説明もしないで。

「同意しますか?しませんか?どうするんですか???」って強く言われて。

よく分からないのに返事を求められたから、とりあえず同意するって言ったけど…後見人って何だかわかる?

と聞かれた際、

へぇ、そうなんだ

と聞き流していました。

今もそうなのか知りませんが、後見開始の審判が申し立てられると、裁判所から電話で親族に確認することになっているようです。

後々わかったことですが、義兄Yは、祖父母の財産目当てで叔父の成年後見人になったようです。

というのは、叔父の父親は、精神障害のある叔父が将来生活に困らないようにするためもあってか、自宅周辺にアパートや借家、駐車場などの不動産を多数所有していました。

叔父の父親は、娘や孫、孫娘である私たちに、

財産を全部上げるから叔父の養子になって、叔父の面倒を見てくれないか。

とか、

叔父の面倒を見てくれる人に財産を全部上げる。

といったことを時々口にしていました。

その頃の叔父は、通院治療を続けていたので普段は普通に短い会話をすることもできましたが、時々、薬が切れているのか、何かぶつぶつ言いながら落ち着きなく居間をぐるぐる歩き回ったり、失笑?のような笑みを浮かべることがあり、明らかにどこかおかしい様子の人だったので、

「いくらお金をもらっても、叔父の面倒は見たくないよねぇ」

というのが親族間の共通認識でした。

当時の私は、

こんな叔父でも、祖父にとっては大事な息子なんだな。

と、正直、頭で理解はできても、共感まではできませんでした。

それでも、一人息子が生まれた今では、祖父の気持ちが痛いほど分かるようになりましたが。

さて、話を戻しますが、そんな中、叔父の父親が亡くなると、その翌年に義兄Yが早速、成年後見人になりました。

義兄Yは成年後見人になったものの、叔父は母親と自宅で暮らしていたので、身上監護も財産管理も、これまで通り母親が行っていました。

おかしな話ですよね。

身上監護も財産管理も成年後見人にお願いしないのに、なぜ成年後見人が選任されたのか?

気になりますよね。

義兄Yの横領が発覚したときは、すでに叔父の母親である私の祖母は他界していたので真相は闇の中ですが、早い話、祖母は義兄Yに騙されていたんじゃないかと思います。

騙されていないにしても、成年後見人が何なのか、私の母同様、裁判所を始め、誰からもきちんと説明されていなかったと思います。

義兄Yが成年後見人になった後も、そのまま身上監護や財産管理を継続していたのがその証拠です。

そもそも、祖母は小学校しか出ていないですし、叔父の上の姉2人は中卒、下の姉2人は高卒で、法律に詳しい親戚は誰もいません。

当然、叔父に成年後見人をつけることを思いつくような親戚は、誰一人いません。

叔父の財産を自由にできる成年後見人になり、叔父の財産を頂いてやろうと思いついたのは、他でもない成年後見人になった義兄Yにほかなりません。

その証拠に、義兄Yは、叔父の母親が入院すると、入院するのを「待ってました!」と言わんばかりに、ATMで限度額いっぱいの50万円を毎月数回ずつ引き出し、定期預金も解約し引き出し始めました。

行動が分かりやす過ぎで、笑っちゃいますよねww

さらに、何を考えているのか、叔父の口座から自分名義の口座に300万円振り込んでました。

真っ黒ですw

調べてみると、合計約5000万円の叔父の現預金が使途不明になっていました。

叔父の場合は、叔父が存命のときに成年後見人の使い込みがわかりましたが、普通は、絶対にわかりません

成年後見人の使い込みは死後まで分かりようがない成年後見制度

成年後見人の使い込みは、被後見人の死後までわかりようがないのが成年後見制度です。

つまり、成年後見人は、被後見人の財産を使いたい放題使っても、誰からもお咎めを受けません。

だから、成年後見人による横領が後を絶たないわけです。

被後見人の情報は、原則「非公開なので、閲覧請求することは確かに制度上可能ですが、許可される可能性は限りなくゼロです。

例えば、成年後見人に横領の疑いがあるので調べてみようと思い、裁判所に後見事務報告書や通帳の写しの閲覧請求をしても、基本的には許可されません。

ちなみに、許可しない理由は教えてもらえません。

教えてもらえませんが、理由は恐らく、横領の「確たる証拠が無いから」という理由です。

証拠を握っている裁判所が証拠を開示しないのだから、絶対に尻尾をつかめるわけがありませんよね。

被後見人の財産がどのように使われていようとも、裁判所ががっちりガードしていて良い意味でも悪い意味でも、外部には漏れないわけです。

さらに、閲覧許可するかしないかの回答は、担当書記官の電話一本です。

閲覧請求は、裁判所に設置してある書面で行う必要があるのに、回答は電話なので許可されなかった証拠が何も残りません。

全く、ズル賢いですよね。

さらに、許可するかしないかは、法律や規則に基づいているわけではなく、完全に、裁判官の裁量です。

法治国家が呆れますよね。

「ならば、銀行に行って、口座の取引履歴を入手しよう!」

と思うかもしれませんが、被後見人が存命の間は、成年後見人しか取引履歴を請求できません

ただ、被後見人が亡くなると、相続人は、取引履歴を請求できるようになります。

つまり、成年後見人が横領をしていても、被後見人が亡くなるまでは、証拠を捕むことは一切できません。

そして、成年後見制度では、

  1. 成年後見人は、法律によって、被後見人の財産を本人に代わり自由に処分することができ(居住用不動産を処分を除く)、
  2. 成年後見人は毎年、後見事務報告において財産管理、身上監護について裁判所に報告することになっていますが、裁判所は提出されたかどうかは確認しますが、報告内容については確認しない

ので、成年後見人は、正にやりたい放題したとしても、発覚してバレる可能性は限りなく低いのです。

成年後見人の横領が発覚するまでの経緯

義兄Yによる横領は、どのようにして叔父の存命中に発覚したのか。

発覚のきっかけは、叔父の母親が亡くなったことでした。

叔父の母親は平成23年に亡くなりましたが、平成20年に叔父の母親が入院すると、叔父の母親の財産を姉Y子が、叔父の財産を姉Y子の夫で成年後見人の義兄Yが管理しました。

叔父の母親が亡くなるまでの約3年半の間、叔父の母親と叔父の財産を義兄Y夫婦が管理していたわけです。

遺産分割協議になりましたが、財産を管理していた義兄Y夫婦は、

叔父の母親の現預金は、ほとんど残っていない。

と言い、いくら残っているのか具体的に教えないまま、分割協議を進めようとしていました。

通帳原本を見せて欲しいと頼んでも一向に見せてくれず困り果てた母から、当時、法律事務所で働いていた私に

どうしたら良い?

と相談がありました。

私自身はパラリーガルで弁護士ではなかったので当時一緒によく仕事をしていた弁護士に事情を話すと、快く母の代理人になり、通帳等の原本の開示請求をしてくれました。

ところが、義兄Y夫婦は、呆れたことに、現預金残高だけを記し「通帳原本の開示の必要はありません」と回答してきたのです。

私の母は、父親が平成8年に亡くなった後、母親にお願いされ、母親と叔父の確定申告の手続きを手伝っていたので、母親と叔父の収支をざっくり把握していたこともあり、義兄Y夫婦から教えられた現預金残高を見て、

こんなに少ないわけないのよね…。

と漏らしていました。

そこで、私は、母に付き添い、各金融機関で祖母の口座の取引履歴の開示請求を行いました。

取り寄せた取引履歴を見て、私は愕然としました。

祖母が平成20年に入院してから亡くなるまでの3年間、祖母の口座から、毎月何度もATMで限度額の50万円が引き出され、複数の定期預金も解約され引き出されていました。

引き出された預金、現金回収の家賃など、使途不明金は6000万円超に上りました。

私の母と私は、

管理していた祖母の現預金を6000万円超も着服していたのだから、一緒に管理していた叔父の現預金だけが無事なはずはない

と考え、裁判所に、義兄Yの成年後見人解任の審判の申立てをしました。

驚いたことに、裁判所は、横領している確たる証拠が無いという理由で義兄Yを解任しませんでした。

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!((((;゚Д゚))))

もう、本当にビックリ!!!です。

いや、横領の疑いがあることを指摘されたのだから、本来なら、証拠を保管している裁判所が職権で横領の有無を調査してくれるのかと思っていたら、何と、「証拠が無い」から解任しないというのです。

えええええーーーーー!!!提出されてる後見事務報告書を調べないのかーーーーい!!!

と、正に青天の霹靂でした。

今回のようなケースで調査しないなら、一体いつ、裁判所は職権で調査するというのでしょう。

結局、義兄Yは財産管理の職務を外されただけで、身上監護はそのまま継続となり、財産管理には新しく伊藤健治弁護士公共の利益のために、後見人弁護士はフルネームで記載しています)が選任されました。

そこで、私の母と私は、伊藤弁護士にアポを取り、義兄Yが横領している可能性があるので、叔父の現預金を調べて欲しいとお願いしました。

すると数ヶ月後、伊藤弁護士は、義兄Yではなく、叔父の姉であるY子(義兄Yの妻)、私の母、T枝の3人に対し、不当利得返還請求を申し立ててきました。

?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?((((;゚Д゚))))

T枝はY子の言いなりだったので分からなくもないですが、調査を依頼した私の母に対して不当利得返還請求をしたのには、正直、言葉を失いました。

常識的に考えて、もし私の母がお金を盗っていたら、わざわざ調査してくださいなんてお願いしに行かないですよね?

もう、本当にビックリです。

なぜそうなったか??

訴状によれば、

伊藤弁護士が口座の取引履歴を取り寄せて確認したところ、使途不明金が5000万円超あることがわかった。

成年後見人の義兄Yに確認したところ、義兄Yは、自分は財産管理には関与しておらず、実際は、叔父の姉であるY子、T美(私の母)、T枝が管理していたとのことだった。

姉Y子に聞いたところ、姉Y子は、姉妹3人で着服したと説明したので、3人に対して返還請求を申し立てた。

いやーーーー、この義兄Yは本当に腹黒い。

なぜって、成年後見人が管理していた財産を着服したら横領罪に問われますが、家族間の問題にすれば横領罪には問われない。

だから、自分ではなく叔父の姉たちが財産管理していたことにしたわけです。

しかもこの義兄Yは、提出済みの後見事務報告書について、わざわざ財産管理人を3人に訂正することまでしていたのでかなりの腹黒、真っ黒です。

それにしても、伊藤弁護士にもビックリです。

あなたは財産管理を引き継ぐ際、誰から、叔父の口座のキャッシュカード、預金通帳、印鑑を受け取りましたか???

と聞きたいですよね。

キャッシュカードも通帳、印鑑も持っていない人がどうやって預金を引き出せるというのでしょう?

義兄Yが何を言ったのか知りませんが、ATMから限度額いっぱいの50万円が毎月のようにジャカジャカ引き落とされていたら、キャッシュカード、通帳、印鑑を保管していた人しか、引き出せないのだから、誰がやっていたのか明らかですよねぇ…。

成年後見人の横領に対する裁判所の驚きの対応

結局、義兄Y夫婦は、母親と叔父の現預金併せて1億1000万円以上を着服していました。

叔父の現預金については、姉Y子から、ほぼ返還されたようです。

私はてっきり、義兄Yが被後見人である叔父の財産を着服している疑いがあると裁判所に知らせて解任の申立てをすれば、裁判所が職権調査をしてくれ、義兄Yを解任し、横領罪で告発してくれるものだと思っていました。

まぁ、着服金がほぼ返還されたので、義兄Yはお咎め無しなのでしょう。

ただ、本来であれば、自分が管理を任されていた財産が盗まれたら、管理不行き届きで責任を取って辞任するのが普通ですよね。

しかし、実際は、義兄Yは辞任することはもちろんなく、裁判所も後見人伊藤弁護士も、警察沙汰にするのが面倒なのか、職権で横領の調査をすることもなく横領罪の告発もせず、後見人伊藤弁護士に至っては、数少ない開示された後見事務報告書によれば、義兄Yの言い分を全面的に認めた内容で、

3人の姉が着服していましたが、自分が取り返しました!!

と裁判所に報告しており(そして、その分多く報酬をもらい)、義兄Yはお咎め無しでした。

いや、本当、伊藤弁護士さん、あなたは財産管理を引き継ぐ際、一体誰からキャッシュカード、通帳と印鑑を引き継いだんだい???と聞きたい…。

横領したお金が返還されても、横領の事実は無くならないと私は思いますが、実際は、お金が返還されると示談になるケースが多いので、実際問題として、告発は難しいのでしょう。

成年後見人による横領や使い込みの疑いがある場合のアドバイス

被後見人が亡くなった後、必ず、成年後見人がついた日以降の被後見人の口座取引履歴を金融機関に請求して入手しましょう。

被後見人が亡くなると、成年後見人は、被後見人の財産に関して相続人に引き継ぐことが義務付けられていますが、直近の資料しか開示されていなければ、横領している可能性が非常に高いです。

成年後見人が就任当時からの通帳の写しなどを引き継いでくれた場合は問題ありませんが、そうでない限り、被後見人のお金を途中で抜かれている可能性が高いので、金融機関で取引履歴を入手して、使途不明金が無いか確認することをおすすめします。

裁判所は、成年後見人を選任するだけで、選任した後は何もしれくれないことを肝に銘じましょう。

【拡散希望】使ってはいけない成年後見制度

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

  • 被後見人の財産状況が原則非公開で、親族でさえも確認できない
  • 横領の疑いがあるのに、裁判所が職権で調査しない(調査しなくても罰則がない
  • 財産の着服が生じても成年後見人が解任されない
  • 裁判所が後見事務報告書の内容をチェックしない

といった今回の話を読んで成年後見制度に問題があると少しでも感じたなら、成年後見制度の廃止または制度の見直しにご協力いただけると嬉しいです。

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